やったぞ!助かった。

本当に ありがとうございます。

大変だったでしょう。お怪我はないですか。

アイツは“マタ アオウ。”と すてゼリフをはいて

消えました。ざまあみろです。

ウイルスのほうは自動的にワクチンがインストールされ、

あなたのパソコンも もう大丈夫です。

 

さあ、神の神託のナゾをときましょう。

ヤツがまた来る前にウリピーに奇跡の水をあびせないと!

まず、5字のパスワード“izumi”は“いずみ”だから、

×××を“いずみ”に置き換えると こうなりますね。

 

いずみより イヌへ

神上峠をこえたる

深き谷底にありて、

人の心のごとき水は

神おこすものなれば

うしなうことなかれ。

 

う〜ん。ウリピー なにかわかったか?

“やっぱり なんもわからんのう!”

“いずみ”はどこかの場所か?

いずみ、泉、泉!まてよ!

和気中学校のある地区が泉というんだ。地図にも載ってる。

次の“イヌ”が方角を示しているとすると

十二支の方位でイヌ(戌)は西北西だ!

泉より西北西にある峠といったら涸沢峰からジャンダルムの間のキレットになるな。

たしか 古代の和気は金剛川が大田原の山のすぐ下を流れていて、

畿内から吉備へ行くのに街道があの峠を越えていたという文献を読んだことがあるぞ。(本当です。)

キレットは昔 泉から益原へぬける峠だったんだ。“神上峠”はここだ!

こいつを越えた所は温泉のある鵜飼谷だ!ここの谷底に奇跡の水があるというわけか!

“はよいこう!”

いや、たしかここは――――

 

私は恐ろしくイヤな予感がしてきた。

アイツのいっていたことばが思い出されたのだ。

私は誰にもつけられていないのを確かめながら、ウリピーを鵜飼谷の奥へ連れてきた。

あたり一面に焼却灰や粉砕された金属やガラスが山積みになっている。

そう そこは見るも無残なゴミ捨て場だったのだ。

“なんじゃこりゃあ!”

ウリピーは愕然となった。

“ヤット来タナ。待ッテイタゾ。”ゴミの陰から不気味な声がした。

“グラサン・リーゼント!”

“ドンナニ捜シテモ無駄ダ。一滴ノ水モナイ!

ゴ覧ノ通リ 人間ハ自分ノ手デ奇跡ノ水ヲ消シ去ッタノダ!

フハハハハハ。人類ガ イカニ愚カニ 自ラ滅ビル道ヲ進ンデイルカ

コレデ思イ知ッタダロウ。”

グラサンの目が赤く光った。

オマエ達ニハ 充分楽シマセテモラッタ。モウ 用ハナイ。

死ネ!

最悪だ!

 

うなだれるウリピーに、私はこれだけいうのが やっとだった。

“ごめん。ウリピー。 人間は――”

“ええんじゃ。みんなは一生懸命歩いて ボクを助けてくれた。

ボクには 人の心がどんなにあたたかいか よ〜くわかったから。

だからもう ええんじゃ。”

“フフフ。人ノ心ダト? 何ヲイッテル!”

その時だ。私は稲妻のようにひらめいたのだ!そう とんでもないドンデン返しを!

“ウリピー!ヤツを引き止めるから早く温泉にとびこめ!”

私の気迫におされてウリピーは一目散に坂を走りおりる。

すかさず 私はグラサンにとびかかった。

“コシャクナ!”ヤツは鼻の穴から閃光をはなった! 私はのけぞってふきとばされた。

“マズ キサマカラ始末シテヤル。サア 立テ!”ヤツは悠然と私にねらいを定めた。

ウリピーは坂を転がると温泉の垣根を飛び越え、露天風呂にとびこんだ!

私はこれでやることは全て終わったと思った。

そして 立ち上がると、ニヤリと笑ってヤツに言ってやった。

“グラサン。いくら凄いコンピューターか知らないが スペースネットはとんでもないミスをした。

 そう 大失敗だ。お前等は“人の心”を無視した。いや理解できなかったんだ!

神の神託に唯一 赤字でかかれた部分“人の心のごとき”は最も重要なキーワードだ。

 ウリピーはいった。“人の心はあたたかい”と!奇跡の水は温かかったんだ!

そう、病や傷を癒す奇跡の水は1200年の時を越えてよみがえっていたのさ。

地下1500mから掘り出された 和気鵜飼谷温泉として

ナッ!奇跡ノ水トハ温泉!?――オノレ!

グラサンはふりむきざま温泉めがけてすさまじい閃光を放った。ドウッ!グワーンン!!

温泉施設100m四方が一瞬にしてふきとんだ!

“うりぴー!” なんという破壊力!

しかし、もうもうとまいあがる硝煙の中から何事もなかったかのように

身の丈4mはありそうな巨大な一頭の白いイノシシが現れた。しかも 宙に浮いてる!

“こ、これがウリピーの真の姿なのか?”

でも、かっこわりー!!!

 

“クッ!封印ヲ解イタカ。ナラバ私モ本当ノ姿ヲ見セテヤル。”

 

グラサンの体がムクムクと大きくなった。そして宙へ浮き上がると

みるみる白くなり、ウリピーそっくりの巨大イノシシになった。

“馬鹿な!神の使者が2頭も。”私はたじろいだ。

“ウリピー、悪イコトハイワン。ワタシト手ヲ組メ!愚カナ人間ノタメニ闘ウツモリカ。

ヤメテ世界ヲ我々ノモノニ シヨウデハナイカ!”

“馬鹿なことを!お前はボクの父さんを殺した仇だ。”

“違ウ!ワタシガ オマエノ父親ダ!”

“うそだ―――!”

なんたる展開!  でもどっかで見たような。

 

 

 

 

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