“カツテ、ワタシハ未来ヘタイムスリップシ、スペースネットニヨッテ改造サレ、サイボーグニナッタ。

ソシテ 奇跡ノ水無シニ コノ姿ヲ手ニイレタノダ!

  サア、ワタシト手ヲクメ!”

“いやだ!”

“ナラバ シカタナイ。コレヲ見ヨ!”

グラサンは鼻から ものすごい閃光を放った!

それは 観音山をかすめ、和気富士の鉄塔を吹き飛ばし、和気駅前に命中した。

ッオオーーーーン!!

一瞬にして和気駅前は消滅し、直径1キロのクレーターになった。

“なにをする!観音山の和文字が8月16日の夜8時でもないのに点火したぞ!”

それどころじゃねえって!

“ドウダ!オマエニ ワタシガ倒セルカ!”

ウリピーは空中にじっとたたずんでいる。

“ドウシタ。サア、オマエノ力ヲ見セテミロ!エエイ、今度ハ コイツヲ消シトバシテヤル!”

グラサンは私を見下ろした。その鼻に光がこもった。

“やめろお!!”    

ウリピーの鼻から閃光が放たれ、グラサンの体を打ち抜いた!

ビシッ!!

“グオッ!コ、コレガ神ノ力・・・コノ ワタシヲ一撃デ・・・サスガダ、ウリピー・・・・・。”

崩れ落ちるグラサン。 ウリピーは勝った!  

“父さん・・・。”

“フッ、コレデイイ・・・・。ワタシハ馬鹿ダッタ・・・スペースネットニ服従シ、自分ノ欲望ヲ満タソウト・・・・

ウリピー、オマエニ言ッテオク事ガアル・・・。ワタシシカ知ラナイ話ダ。

実ハ 神ノ神託ニハ、マダ隠サレタ秘密ガアルノダ。

実ハ オマエノ封印ヲトイタ奇跡ノ水ハ 本物デハナイ!

必ズドコカニ真ノ”奇跡ノ水ガアル。

捜スノダ。ヤツガ来ル前ニ――――”

グラサンの姿が消えた。  まるで役目を終えたかのように。

そこには黒いサングラスだけが残っていた―――。

 

その時だ!天空に衝撃が走り、稲妻をひきさいて 全長300Mはあろうか とてつもなく巨大な物体が突如上空に出現した。

グオーーーーン

“我ハ全知全能ナル真ノ神。未来ノ世界ノ支配者。

オロカナ人類ヨ、我ニヒレ伏スノダ!”

“何!?まさかそんな!こ、これがスペースネットなのか?”

でも、すげーかっこわりー!!!

 

“我ヲ据エ置キノコンピュータートデモ思ッテイタノカ。

我ハ グラサンノデータヲ元ニ作ッタ巨大ロボットニ 自ラヲ搭載シタノダ。

サア、神ノ使者ウリピーヨ。カカッテクルガイイ。オマエノ力ハ スデニ計算済ミダ。”

 

ウリピーは寂しく笑って私を見つめた。

“こいつはボクの全てをぶつけないと勝てない。

皆ありがとう。ボクは自分の使命を果たすよ。

ここでさよならだ。あなたの芋はうまかったな。”

 

ウリピーの体が輝きだした。

そのまぶしい光は大きく広がり、みるみるスペースネットを包み込んだ。

“ナンダ、コノ光ハ!バカナ!コノ我ノ体ガ消滅シテイク!グワッ――ガーピージジジ・・・・・・”

ピシッ!シュオ――ンンン!!

まぶしさは限界を越え、やがて収縮し、点になって消えた。

あの巨大なスペースネットの姿はどこにもなかった。

世界に平和が戻った。

 

 

しかし、私は立ち尽くしていた。

私の足元には力尽き 変わり果てたウリピーの亡骸が横たわっていた。―――――

 

“ウリピー・・・。”

 

私の頬を涙が流れた。

 

 

 

ぬぐっても、

ぬぐっても、

涙が止まらなかった。

 

 

 

 

 

こぼれ落ちた涙はウリピーの頬も濡らした。

次の瞬間!ウリピーの体が光を放ち、宙に浮きあがった。

“!?”

気づくと私の体も光っていた。光は輝きをましていく。

まぶしさにたえられず目を閉じると声がした。

“ありがとう。”

 

 

 

いつのまにか目の前にりっぱな牙をもった真っ白な獣がたっていた。

 

見たこともない怪獣。しかし、恐怖は感じない。むしろ尊さを感じた。

ここはどこだろう?真っ白な世界である。

“人間にこの姿を見せるのは清麻呂とあなたで2度目です。

私の神託を解読し、使者の封印をといた貴方と、我が和気アルプスの難所を

踏破し 今このホームページを読んでいる皆さん全員を 然るべき者として

私の神託を授けます。”

“ええ!もしかして、神様!?”

怪獣はやさしく微笑んで言った。

“人は私をそう呼んでいます。

でもあなたは私をこう呼んでいました。

ウリピーと。”

げげっ!!ま・さ・か!―――え?エ――ッ!?

わけがわからん!!

“私の存在を理解するには人類はあと千年の進歩が必要です。

でも、今どうしても理解してもらいたい事を神託にしました。

貴方はもう真の奇跡の水が何かお解かりになったでしょう。”

私はハッとなった。

“なみだ?――だったのですか!”

神様はやさしくうなずいた。

“これで貴方は私の神託の本当の意味がわかるでしょう。

さあ、貴方の世界に戻るのです。そして本当の意味を示しなさい。”

また光がまぶしくなり、私は思わず目をとじた。――――――

 

 

気がつくと私は自宅にいた。

和気町は壊滅している。消防にいかなきゃあなるまい。

だが、なんと!!

外を見てまわると温泉も和気駅前も全てが元通りに直っているではないか!

妻が“どうしたんでえ。ぼーっとしてえ。”といった。

どういうことだ?妻はなにも憶えてないのか?―――私は夢をみていたのか?

まてよ。これなのか?そうだこれなのだ!奇跡とは!!

 “奇跡だ!これは本当に奇跡だあ!!”

私は空にむかって大声でさけんだ。

 

 

神の神託。

いずみより イヌへ  神上峠をこえたる  深き谷底にありて、

人の心のごとき水は  神おこすものなれば  うしなうことなかれ。

 

もう皆さんには なんとなく解っていませんか?

その本当の意味とは 当たり前のことだったのです。

 

いずるところから往ぬるまで (この世が始まってからずっと未来永劫に)

神の力を上回るような(どうしようもない) ひどいドン底(苦境)にあっても、

人の心を表わし、うれしさや悲しさで流れる涙は 

神の力をも超えることができるから 決して心(涙)を失ってはならない。

 

つまり、人が“人の心”を失わない限り、人類に未来はある。

と、いうこと!

 

悲惨な事件が多発している現代、人の心が問われているように思えます。

はたして人類は人の心を態度で示すことができるのでしょうか。

出来る!と私は信じています。(確信はないけどね。)――――

 

 

ウリピー、また会えるかな。

神様だったとは―――

〜!! おもいだした!

わしゃあ神様けとばした――!

しかも2回。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和気アルプスの難所を踏破し、

拙いお話をここまで読んで頂きありがとうございました。

 

参考文献:ふるさと和気

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