あんな所まで行くの?!

衝立岩・ザイテングラードの詳細ガイドです。

06年5月3日、従来のザイテングラード直登の“ミチオルート”から派生して、衝立岩(ついたていわ)右側を登攀する“マサミチルート”が開通しました。

当初は一般化不能と思われたルートだけに、全身を使って多彩な岩場をきり抜けていく本格登山の醍醐味がギュッ!と濃縮されています。ショートながら踏破した満足感は大きいでしょう。

なお、雨や大勢や初心者だけといった悪条件では危険すぎますので、ご注意ください。

 

ザイテンから左上に、一見 足元に近づくことすら無理に思える岩場があります。

これが、総高差40mの“衝立岩”です。

崩落しそうなクラックがいくつもあり、ほぼ垂直に切り立っています。

(剣峰のネーミングはこのきり立った衝立岩によるものです。)

 

 

 

ザイテンからマサミチルートを登攀する。

マサミチルートの分岐は、ザイテンの“崖っぷち”を登って5m先です

分岐からブッシュ帯をトラバースし、滝口をまたいで、ツルム(塔状岩峰)に乗り移り、上へ登って、さらにナメ滝口をまたいで、急小坂を攀じて、ささやかなトラバース。スラブに出たら、一旦下へ下って、スタンス(足場)を丁寧に拾いながらトラバースし、ザレた斜面を登って左の林の中へ。スリップしそうな林の中の岩盤を登ると、衝立岩の足元につく。(ここに、前剣バイパスの分岐があるので、マイッタ方は左へ行くとエスケープできます。)

足元から見上げると、途中の段までしか見えないので、つい直登したくなりますが、ダテに不可能の代名詞である“ツイタテ”を名乗っているわけではありませんので、ハイカーには自殺行為です。絶対にやめてください。

 

バイパスに逃げない物好きな方は、気合を入れなおして、引き続きマサミチルートを攀じりましょう。

衝立岩の右側をまくようにしてほぼ垂直なスラブとブッシュの境界線を登攀します。足元から20m登ったあたりから岩に乗り上がり、黄ペンキ印をたどって岩棚(怖い方のために気休めロープをはっています。)を斜上し、のぞき見場所までくれば核心部は終了です。(ここで木につかまりながら下をご覧ください。手軽に25mの垂直高度をご堪能いただけます。ここで石を落とすと、下にいる人が死にますので、絶対に落とさないこと。

さらに黄ペンキをたどって登っていくと、ツイタテの頭に到着です。ここからは左下にザイテンの岩稜を俯瞰でき、右下にはこんもりとした前剣ごしに下界を見渡せ、剣峰以上の眺めが楽しめます。

 

剣峰からの立ち寄り周回コースとして。

稜線を縦走してきて、最後の立ち寄り箇所(のんびり行って30分。)としても楽しめます。ザックは剣峰の山頂岩場に置いておき、カメラだけ持ってトライしましょう。

山頂岩場の西端から、時折まばらなブッシュをゆるやかに下ると、ツイタテの頭の分岐に到着する。分岐を右にとって前剣にむかう。途端に岩場まじりの急坂になるが、立ち木にさばりながら慎重にくだる。くだった所にのぞき見場所があるので、先端まで立ち寄って、ちょっと前かがみになって見渡してみよう。左横には垂直の岩場、真下には高度感ある眺めが楽しめる。さらに下ると前剣の鞍部にツイタテ足元へのバイパス分岐がある。一旦 前剣まで立ち寄って、戻ってくるときに、正面の降りてきた山容を見上げてほしい。バイパス分岐から衝立岩の足元へ向かうと、トラバース主体で難なく衝立岩足元でマサミチルートに合流する。あとは上記同様。ツイタテの頭からザイテンを俯瞰したあと剣峰に帰還し、ザイテンを下山すれば大満足できるでしょう。

なお、マサミチルートは、その名のとおり、かなり個性的で、全体として下降はかなり困難です。バイパスで足元まで来たついでにザイテンまでマサミチルートを下降したり、上記の逆周りをするのはお勧めできません。

 

なお、前剣から西尾根新町へ下降するルートは、昔の踏み跡が所々ありますが、薮漕ぎ冒険好きな方のためにあえて整備はしません。稜線上は、割と楽で展望もありますが、麓までもう少しという所(ラスト50mくらい)で、完全な薮漕ぎになります。つい、南寄りの民家の裏手に出がちですが、ご迷惑にならないように車道の北寄りのポンプ小屋(地元の話ではここに登山口があったとのことですが、現在は痕跡なし。)方面に下山するように心掛けてください。なお、自然と冒険性が損なわれますので、大勢での薮漕ぎはしないでください。(地主は怒るでしょうし、同好の薮屋は残念がりますからね。)ご理解ご協力ください。

 

 

 

 

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